しゅごキャラ!/いつか迎える日


『♪』

 楽しそうに、雨上がりでできた水溜りを跨いでいるのは自分にとってかけがえのない愛しい人で。見てるだけで心和むような、幸せな気分にさせてくれる。

『パパぁ♥』

 にこやかに笑いながら、少女が空海に駆け寄ってくる。少女を腕に抱き止めようと、手を伸ばした刹那。

「空海?」

 顔にかかる髪を押さえながら、歌唄が訝しげに空海の顔を覗き込んできた。あ、と我に返って、思わず空海は苦笑する。

「どうしたの、急に?」

「いや」

 そっと手を握り、空海は歌唄を引き寄せる。そのまま優しく唇を触れさせて、満面に笑みを浮かべた。

「近い将来を、夢見た気がした」

「何よ、それ?」

 くす、と笑んで、今度は歌唄から空海にキスを送る。

「女の子……かなって」

「えぇ?」

 空海の言葉に、歌唄は眉根を寄せた。だがすぐに破顔して、そうかもね、と口元を緩ませる。

「空海が言うなら、そうかも。作ったのは、空海だし?」

 自身の腹部に手を当てて、歌唄がそう言った。おいおい、と頭を掻きながら、空海は優しく歌唄の肩を抱く。

「産み分けなんかした覚えはねぇぜ?」

「作った覚えがないわけじゃないでしょ?」

「そ、そりゃぁ……」

 口籠りながら、空海はため息を吐く。ふふ、と女神のように微笑む歌唄に、敵わないな、と失笑しながら、空海はゆっくりと歩みを進めた。
 すると、1歩、歌唄が先を歩いて、足元の水溜りを軽く跨ぐ。その光景が、まるで既視感デジャブのようで。空海は、目を見開いた。

 振り返った歌唄に、空海、とにこやかに名前を呼ばれて。きっと近い将来、また同じ光景を目にすることだろう、と空海は実感したのだった。


しゅごキャラ!/いつか迎える日■END