しゅごキャラ！／君の吐息は僕の媚薬
啄ばむように贈られる口付けに、歌唄は意識が朦朧としていくのがわかった。
「……ん、……」
空海の生温かい掌が、服を滑って歌唄の肌に触れる。ぴくり、と反応すると、まるでそれが愉快だとでも言うように、空海はただでさえ濃密なキスを更に深いものに変えていった。
「ちょっと……、待って……」
消え入りそうな声で、何とか歌唄は発する。はぁ、と全身の力を抜くように息を吐き出して、潤んだ目で歌唄は空海を見つめた。
「……何？」
唇に当てがっていたそれが、今度は首筋を這う。
「――…っ」
空海の舌使いに、歌唄はゾクっとした。一瞬にして、目が覚める。隙間なく、歌唄の身体中を舐め回すかの如く執拗に這っていく。
空海を押しやろうと胸に手を当てても、空海との距離は広がらず。そうさせまいと、空海は両腕に力を入れて歌唄をきつく抱き竦めた。
「く、ぅか……ぃ」
「聞いてる。続けろよ」
「ぁ……っ」
服の中に入った空海の手が歌唄の背中に伸びて、片手で容易くブラジャーのホックを外された。
「――…もぅ！」
歌唄は両手で空海の頬を包み込むように、ぱちん、と叩いた。驚いて、空海は目を丸くする。
「待ってって言ってるでしょう!?」
「……」
涙を滲ませ、それでも必死に吊り上げる歌唄の眼を見たら、それ以上続けるわけにはいかなくなり。しぶしぶ、空海は歌唄の服の中から手を出した。
「やめてって言ってもやめてくれないんなら、もう空海とはしないからっ」
「……」
ぷい、と顔を背けて、歌唄は言い放った。ぽりぽり、と頭を掻きながら、ごめん、と呟いて、空海はそっと歌唄を抱き寄せる。
「歌唄と同じ空間にいると、抑えが利かなくなる。歌唄が呼吸する度に、誘われてるって錯覚に陥って」
「……」
「好きだから、もっと触れていたい。好きだから、歌唄の吐く息さえも全部、俺の中に飲み込んでしまいたい」
「……」
「これって、異状だよな」
自虐的に笑いながら、空海は歌唄を抱き締める腕を緩める。ゆっくりと空海の体温が離れて、歌唄は慌ててそれを引き止めるように空海の首に腕を回した。
「違うの。私も、同じ気持ち……なんだけど。今はお昼だし、その……」
「俺は、一日中だってしていたい」
空海は歌唄を離し、額に軽く口づける。空海の言葉に戸惑った表情を浮かべて、歌唄は俯いた。
「体力が続く限り、何度だって歌唄と一つになりたい。朝とか昼とか関係なく、ずっと繋がっていたい」
「……あたしが、持たないわよ」
空海の体力に合わせたら、と口元に笑みを浮かべた歌唄に、そっと空海は唇を重ねる。ちゅ、と軽く触れさせて、穏やかに歌唄を見つめた。
「やっぱり、だめか？」
「……ううん」
首を横に振って、歌唄は空海の唇目がけて顔を近づける。
「あたしの身体が……我慢できないって言ってる。空海がほしくて堪らないって、そう言ってる」
空海のせいよ、と耳元で囁けば、満足そうに空海は破顔した。
歌唄の吐息を感じる度に、空海の奥が反応する。居た堪れない気持ちを押し出したい、と訴えかけられる。
「ちゃんと、責任取るから」
「……ん」
歌唄の身体を飲み込むように、空海は歌唄に覆い被さって。今度は抵抗することなく、歌唄も空海に身を委ねたのだった。
しゅごキャラ！／君の吐息は僕の媚薬■END