しゅごキャラ!/指切りの代わりにキス


 教会のドアが開かれ、色々な人が待つ中、姿を現した二人は。はにかみながら、それでも幸せいっぱいの表情をしていた。
 喜びを祝う声を聞きながら、1歩ずつ、二人は確実に階段を下りてくる。フラワーシャワーが、まるで光のように二人に降り注いで。

 亜夢は、その二人を見つめながら、目頭が熱くなってくるのを感じていた。

「泣くと、化粧が崩れるぜ?」

 耳打ちと同時、幾斗は亜夢にハンカチを差し出す。何も言わずにそれを受け取って、涙が頬に伝う前に、亜夢は目尻に溜まった涙をそれで吸い取った。

「二階堂も、ようやく観念したってとこかな?」

 隣にいた空海が腕を組みながらそう言うと、歌唄が、そうね、と軽く微笑った。

「好き合ってるのは、ずっと前から見ていてわかったし。そろそろ、年貢の納め時とでも思ったんじゃないかしら」

 そう言った歌唄も、とても輝いて見えて。空海が隣にいるからだろうか。すごく、幸せそうだ。

「歌唄!」

 はっとして前を見れば、歌唄の腕の中に、ブーケが降ってきた。

「幸せのお裾分けよ」

 ウインクをしながらゆかりに言われて、思わず空海を見上げれば、ばちっと目が合って。恥ずかしくなって、歌唄はブーケに顔を埋めた。

◇ ◇ ◇


「きれいだったなぁ」

 歌唄と半分にしたブーケを見つめながら、亜夢が呟いた。

「いつか、な?」

 ぽん、と大きな幾斗の手が亜夢の頭に乗って。見上げれば、穏やかな表情で見つめられていた。

「……うん」

 頬を赤らめて素直に頷けば、その言葉を塞ぐように、唇にキスを落とされた。軽く、触れるだけのキスを。

「結婚式でのキスって、誓いの言葉を封印するって意味があるんだぜ」

「封印?」

 亜夢が首を傾げると、ああ、と頷いて、今度は頬に唇を寄せた。

「お互いの唇と唇で、その言葉を封印する。誓いの言葉を破らない証として」

 ロマンチックだな、と思ってしまった。誓いのキスにそんな意味があったなんて、亜夢は知らなかった。でもそういう意味があるキスだから、きっと素晴らしいと思えるのだろう。

「今の言葉も、ちゃんと封印しといたから」

「そんなことしなくても、大丈夫だよ」

 くす、と微笑めば、またそこにキスが落ちてきた。
 唇を重ねあって、そうして手を固く繋いで。一生、離れない、と。永遠の愛を、ここに誓って。


しゅごキャラ!/指切りの代わりにキス■END