しゅごキャラ!/震える背中は君の哀しみ
昔から、ときどき夢に見ることがあった。
『おまえがそんなだから、りまが……っ』
『私だって働いてるの!』
両親の言い合いを、ずっと物陰で見ていた頃の夢。
仲のいい夫婦とまではいかなくとも、今ではあまりケンカをしなくなったというのに。
一体いつまで、この現実として起こっていた夢を見続けなければならないのだろう。
「……っ」
夢のせいで、夜中に目が覚めて。あの頃のことを思い出すと、涙が止まらなくなって。
「どうしたの?」
ふわ、と温かな言葉と抱擁が、りまを包み込む。
「嫌な夢でも見た?」
「……」
なぎひこの腕の中で、りまは首を縦に動かした。
「大丈夫だよ」
言いながら、なぎひこはゆっくりとりまをベッドに横たえる。そうして自分も隣に寝そべって、りまを抱き寄せた。
「僕がいるから」
「……」
耳元で囁いて、きゅ、とりまを抱き締める腕に力を入れる。なぎひこの生きている鼓動と息遣いが、りまに伝わる。
そのリズムが心地よくて、りまはすぐに夢の中へと誘われてしまった。
そこに、なぎひこがいる。それがこんなにも安心できるなんて、知らなかった。
どんなに嫌な夢を見ても、この腕に包まれたら忘れられる。そんな気がした。
しゅごキャラ!/震える背中は君の哀しみ■END