しゅごキャラ!/瞳を閉じても耳をふさいでも


「あー、くそ……」

 頭をわしゃわしゃと掻きながら、歯痒そうに空海は呟いた。

「どうしたの?」

 モゾモゾと布団の中で動き、歌唄は空海の表情を窺う。そんな歌唄から顔を背けるように背を向けて、空海は尚も頭を掻いた。

「ねぇ、空海。もしかして、眠れないの?」

「……」

 身体を起こして、背を向けた空海を覗き込みながら歌唄がそう聞く。黙って、空海はわずかに頷いた。

「大丈夫よ」

 ふわり、と歌唄の優しい香りが、空海を包み込む。掴まれた頭は、気づけば歌唄の膝の上に乗っていて。
 まるで赤子をあやすように、空海は歌唄に頭を撫でられていた。

「こうしていれば、ゆっくり眠れるわ」

「……」

 心地のよさとは別の空海の中の欲望は、穏やかな空気を持つ今の歌唄の意に反して目覚めようとしていた。
 それを何とか宥めようと無理に目を瞑るが、閉じた暗闇の先に映るのは、どうしても歌唄でしかなくて。それが尚更、空海の下半身を刺激した。

「歌唄」

「え?」

 がば、と身体を起こして、下から歌唄に口づける。きょとんとして目を大きく見開いていた歌唄だが、そのキスを受け入れて、目を閉じた。

「無理だ、歌唄」

「何が?」

「目を開けても閉じても、歌唄がいて。落ち着いて、寝てらんねぇ」

 だから、と空海は素早く歌唄の服に手を忍ばせた。

「ちょ……、空海!?」

「待ったなし」

 楽しそうに、空海はもう一度歌唄に口づけた。

 どちらにせよ、歌唄しかいないのなら。直に体温を感じられた方がいいに決まっている。
 思いながら、空海は歌唄に体重を預けていったのであった。


しゅごキャラ!/瞳を閉じても耳をふさいでも■END