しゅごキャラ!/君からのキス


「ねぇ、空海ったら」

「……」

「もう。さっきから謝ってるじゃないの。いい加減、機嫌直しなさいよ」

 ね、と顔を覗き込まれながら言われ、空海は諦めたようにため息を吐いた。

「ま、別に。初めから、期待なんかしてなかったしな」

「嘘ばっかり。期待してなかったんなら、そんなに怒ったりしないでしょう?」

「……」

 先ほどまで、確かに歌唄は低姿勢だったはずなのだが。
 いつの間にか、形勢逆転とばかりに歌唄は手を腰に当てて空海を見ている。

「でも、確かに用意してなかった私も悪いけど、そんなことでいつまでも不機嫌になってる空海も、どうかと思うわよ?」

「……わーったよ」

 頭を掻いて、空海はベッドに寝転がる。

「いいよ、もう。別に、バレンタインのチョコがなかったからって――」

 ふわ、と歌唄の香りを感じて、空海は目を見開いた。
 優しく、確実に空海の唇に触れたのは。

「これじゃ、チョコの代わりにはならない?」

「……」

 恥ずかしそうに頬を染める歌唄の、空海だけに贈られる甘い口づけ。それがあれば他には何もいらないと思わせてくれるようなキスが、空海を刺激する。

 身体を起こして、空海は歌唄の肩を掴んだ。

「……いただきマス」

 にっこりと微笑んでから、空海はゆっくりと、味わうように歌唄の赤い唇に吸いついたのだった。


しゅごキャラ!/君からのキス■END