しゅごキャラ!/紅葉顔


「わぁ、きれーい!」

 亜夢の頭上から、雨の様に紅葉の葉が降ってくる。その紅葉の葉と戯れながらはしゃぐ自分の彼女を、幾斗は穏やかな表情で見つめていた。

「元気だな、あむは」

 嬉しそうに、幾斗はそう呟いた。

「ちょ……! こ、これはキャラ変えてるんだからっ。忘れてよね!?」

「はいはい」

 今更だろう、とは思うが、亜夢は未だに、子供っぽく振舞う自分を、キャラではない、と認めずにいる。そんな子供っぽいところや大人びたところも全部含めて、幾斗は亜夢を必要としていた。
 時には姉のように、幾斗を優しく包み込んでくれる。そして時には妹のように甘えて、幾斗を頼ってくれる。そんな亜夢だから、幾斗も好きになったのかもしれない。

 後ろからそっと亜夢に歩み寄り、幾斗は優しく抱き締めた。それに応えるように、亜夢は回された幾斗の手に自分の手を重ねる。

「……あむ」

「何?」

「大好き」

「!?」

 突然言われ、亜夢の顔は一瞬で赤く染まる。

「紅葉顔」

「うっさい、馬鹿猫っ」

 真っ赤に染まった亜夢の顔をたとえ、くっくっ、と声を殺して幾斗は笑う。

「また来年も、来ような」

「……うん」

 この穏やかな空気のまま、また二人で。ずっとずっと、一緒にいよう。そう誓い、二人は紅葉の並木道の中で唇を重ねた。紅葉の葉が、シャワーのように二人に降り注いでいる。


しゅごキャラ!/紅葉顔■END